その白馬の目は
水平線の向こうに何を見ていたのだろう
潮風にたてがみを濡らし
少し涙をためていた
わずかばかりの魚で事足りる
小さな村の穏やかな暮らし
畑には身を低くした野菜たち
ローズマリーがそこはかとない村の香水
防風林が守り切れないほどの
激しい風の夜を黒ずんだ石壁の家で暮らす
小さな灯りをともしながら
固いベッドに添い寝する
母親の語る物語は
引き継がれてきた村人の記憶
海に旅立った者たちの不思議な冒険
子守唄は波の繰り返しを真似て
いつの間にか胸を波音で満たし
子供たちは健やかに眠るのでした
星のささやきが
いっそう大きく聞こえる浜辺に
手をつないで空を見上げる
塩気をまとった抱擁
若い二人には流れ星の祝福
懐かしい人たちは眠る
祝祭はいつもその人たちとともに
干された網はすっかりと乾き
海に沈むときを待っている
教会の鐘の音に続く小道では
手に豆のある働き者たちが笑いあう
野道に咲く名もない花のように
この村の賑わいになる
誰もが寝静まった
明るい月夜の岡には
牛たちの祖先の黒い影が重なり
モーと低く鳴く
いつまでも懐かしそうに
海を眺めている
海の夜に釣り糸を垂れて
夜釣りの船が
海霧の中に漂っている
明日の朝にまた
家族の笑顔に会うことを
心待ちしながら