窓から吹き込んでくる夏の風が
机の上の本をめくる
そこに何か気になる物が書いてあるのか
何度も開いたり閉じたりを繰り返している
カーテンが揺れている
そこからは夏の陽ざしが差し込んで
本を照らしている
のように
夏の風はいつしか
僕の心もめくり始める
僕の何を見たいの
油断をしていたわけではいけれど
鍵をかけていたわけではないから
簡単に解きほぐさされて
軽やかに風にめくられる
ページを一緒に眺める
心に浮かんでいる
過ぎた夏の遠い風景の数
その中で過ごした僕の心模様が
<今年もまたここに来たな
近くまで車で来ると場所が分かった
少しドキドキとしていた>
<よく来たねと迎えられるのは嬉しかったな
三毛猫の(みっけ)も僕を歓迎してくれたし
いつももてなしはサイダーだった>
<冷えたサイダーは炭酸が強すぎたのか
喉の奥が痛いように感じられて
苦笑いをして飲んでいた>
<ラッキョウもどうぞと勧められたな
我慢して齧ったけれど酸っぱくて
ちっとも美味しくもない
梅干も正直好きでは無かったな>
<暑い盛りの食後は昼寝の時間で
眠れずに僕は一人抜けだして
近くの神社に蝉を捕まえに出かけた>
それから続けられる
水彩の絵日記のような夏の物語を
僕は沢山描いていたっけ
もうそろそろ午睡の時間だ
その物語を眺めている内に僕は
眠くなってきたから
とても心地良いおとぎ話の語り口に
その物語の先に紡がれた
今の僕は僕でまた
新たな絵日記を書いている
そのために忙しくて少し疲れてしまっていて
せめて夢の中で昔の物語を楽しむことにしよう
眠ることがもったいないほどに描き続けた
夏の風のめくっていく物語の数々を